舞台、映像制作のプロが教える撮影から編集までの基礎知識 撮影編④複数台撮影の場合のサブカメラの位置
前回は、舞台撮影での
センター定点固定カメラの重要性についてお話しましたが
今回は複数台のカメラで撮影する場合において、
2台目、3台目に関するお話をしたいと思います。
2台目にカメラを置く場合、ほとんどの場合は
センターメインワークカメラということになるかと思います。
これはセンター固定カメラのすぐ横に置くのが基本で、
主に芝居やイベントの主旋律を追いかけてワークしていくカメラです。
多くの場合は、ベテランのチーフカメラマンが担当することが多い、
つまりは最も技量が求められる重要なポジションとも言えます。
極論、このセンターメインワークのカメラマンが優秀であれば
1台でどんな舞台もイベントも成立するほどの力を発揮しますし、
逆にここが弱いと、どんな芝居でもダンスでもボロボロになります。
ワンカメショーと言いますが、
1台のカメラで一つのシーンを表現してしまう、
もっと言えば、このカメラさえちゃんとしていれば
これでほとんど完結するほどの重要なポジションです。
ライブでスイッチングをしているような場合でも
優秀なカメラマンが担当していると、
困ったときはこのセンターワークのカメラに
頼ればなんとかなるという安心感があります。
ところが、いろいろな作品を拝見していると
このセンターのメインワークカメラが機能していないケースが
結構多いことに気づきます。
それだけカメラワークの高い技術が求められるし、
誤魔化しが効かないので目立つということでしょうか。
実は単なる技術以外にもう一つ求められる大切な要素があります。
それは、芝居やダンス、歌などの流れ、演出家の意図など
演出要素を汲み取る読解力です。
多くのカメラマンは、カメラをどう扱うか?
動かし方や機械的な設定などのことには詳しくとも、
この演出要素のセンスがある方が少ないのです。
これは当たり前と言えば当たり前で、
演出の要素は監督や演出家、ディレクターに求められる才能で
本来カメラマンに求められる能力ではないからです。
ただし、完全分業制だった昔のテレビや映画の時代であればの話です。
分業制で、予算も人員も豊富だった時代は、
カメラマンは映像のことだけを気にして
ディレクターや監督が意図する映像を
高い技術力で撮ってくれればよかったのですが、今はそうは行きません。
特にライブ配信などもある場合は、瞬時に臨機応変に動く必要があり、
絵心に加え、芝居心も持ち合わせていないと、
核心をついた気持ちのいい映像にはならないのです。
私も実際、さまざまな現場を経験してきて感じるのは
プロの撮影カメラマンにお願いしても読解力がゼロだったり、
カメラマンとディレクターのチームワークや役割分担で
意思の疎通が取れていないと
最終的に作品としてよくはならない場合が多い
ということをお伝えしたいのです。
これは金額ともなかなかリンクしませんで、
料金が高いからいいとも限りません。
ひとえに読解力と、ディレクターや他カメラマンとの
チームワークであると言えます。
というわけで、ここまで書き綴ってきたのに
冷静に考えるとこれはこうすればいけますよって
まとめるのは難しいなと感じておりますが、
あえて注意点をまとめるならば
*技術に自信がない方はあまり頻繁に動かさずに
特にズームやパンといった動きは避け、
芝居の中心を狙って構えたら
キョロキョロとサイズやアングルを探らないこと。
途中で動かした映像の前後は使えなくなります。
*誰を写して誰を切るか?
芝居の内容や脚本をよく理解し、
ここは誰のどういうサイズが必要なのか?
はたまた誰を入れ込んで誰を切るのか?を判断すること。
*ダンスやバレエなどでは全身を入れること。
頭や手の先、足の動きなども見せたい場合が多いので。
う~ん、やっぱりこれができたら既に一流のカメラマンですねw
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